価値観や多様性に触れた青春漫画「青のフラッグ」【道徳の授業にどうぞ】

学校によって異なるかもしれませんが、「道徳」の授業って色んな答えがあっていいはずなのに基本的に「求められる答え」を言わないとダメみたいな空気ありますよね。自分が小学生だった頃は、先生(大人)がどんな答えを求めているのか、子供ながらに感じてそれに合わせて答えるだけの空間でした。

 

そんな「求められる答え」を言うだけの「道徳」の授業を受けるくらいなら、漫画「青のフラッグ」を読んだ方が100倍道徳の勉強になります。

 

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漫画「青のフラッグ」:価値観・多様性とは?という部分を突いた作品

(青のフラッグ – 第1話)

物語のあらすじを簡単に紹介

人生の岐路に立つ高3の春──。
一ノ瀬太一は、なぜか苦手と感じる空勢二葉、幼馴染でリア充な三田桃真の2人と同じクラスになる。ある日、二葉から桃真への恋心を打ち明けられ、協力してほしいと頼まれた太一は…!? 青春に染まりゆく3人の新“純”愛物語、開幕!!

これは1巻のあらすじですが、この作品をあらすじで説明するのは難しいですね。

それぞれの「価値観」が正面から不器用に繊細にぶつかって交わる姿が描かれた漫画というべきでしょうか。

 

価値観や多様性ってなに?

登場人物達が「自分の価値観」をぶつけるシーンがあります。

「ある価値観を認められない」男子高校生がいます。そこで1人の女子高生は言います。「多様性を認められない奴はダサい。アイツはアイツじゃん」と。責められる男子高校生。もう1人の男子高校生が間に入って言います。「お前らがやっている事と、コイツがやっている事何が違うんだよ」と。

つまり、このシーンは「多様性を認めてあげている女子高生が正義のように見えて、本質はその多様性を受け入れられない価値観を持つ男子高校生を排除しようとしただけ」というところ。

 

「多様性」を盾に「私達の価値観が分からない奴らは消えろ」というこの矛盾を上手く突いたシーンでした。

 

普通の人の「普通」と、普通じゃない人の「普通」

この漫画は、「性別」をテーマに「価値観」や「多様性」について触れた作品となります。つまり「LGBT」を軸に読者は、「自分にとっての普通とはなんなんだろう」と考えさせられる漫画です。

 

1つ誤解してはいけない事が、「性別」について考える漫画ではないことです。

あくまで「性別」をテーマにしているだけで、本質は「あなたの価値観や普通ってなんですか?」という部分。決して「男と女ってなんでしょう」と考える漫画ではありません。

※ ちなみにですが作中には、そういった何かを指すような用語はでてきません。こういう人たちはこういう人たちと一括にされず、「ただ好きなだけ」を純粋に描いています。

 

皆同じではなく、皆違う

個人的に好きなセリフがあるので紹介します。少し長いですがぜひ。

多くの人が好きと思うものを同じように好きにならなければならないこともないでしょう?でも大多数と共感できたほうが生きやすいです

「個性」だ何だ強調しようと結局「和」が大事にされます

周りと違うということはそれだけでコストもかかる

同じでなければ共感できない 共感できなければ理解できない 理解できなければ嫌悪される

他との違いを貫くのは生きづらく 自他ともに嫌な思いをしつづけなければならない

だったら相手に合わせることも大事だとは思うけど そもそも全員違うんだから完全に一致することはないわけじゃない?

(中略)

私達にできるのは 自分の信じる最善の道を選ぶこと

その選択に相手がどんな評価をくだすか それはその相手が抱える問題

例え相手がどんな大切な親友だろうと家族だろうとあなたがどんなに悩もうと努力しようと どうにもできないことなの

「普通じゃない」と言われる人にとっての「普通」を認めてあげつつも、その「普通」を貫くことにはリスクもある事を伝えています。大多数の「普通」が自分の「普通」と重なれば重なるほど生きやすい事も伝えています。

 

このセリフからは「皆で認めましょう」とも「あなたが変わりましょう」とも言っていません。ここが個人的にポイントだと思っています。

 

同じじゃなかったら何?:普通の人間ってなに?

もう1つ個人的に好きなセリフがあるのでこちらも。

気付きたかったのに

わかってほしいんだったら・・・あ・・・んな顔すんならさぁ・・・っ

アタシだってわかりたいよ 一緒じゃなきゃ同じじゃなきゃ理解できないとか共感できないとか んなこと言われたって・・・同じになれないじゃん

「普通」が普通じゃない人間が「普通の人には分からない」というある意味見下していた価値観と、「普通」で悩んできた「普通の人」がぶつかり合うシーン。

 

青のフラッグ:コマ割り・目線・動き全てが繊細で儚い【感想】

(青のフラッグ – 第4話)

テーマが難しいはずなのに読みやすい

このテーマを漫画で描きつつも、ちゃんと漫画として成立しているのは読んでいて「すげぇ」となります。たまに難しい本を分かりやすく漫画化したものもありますが、そういう本って逆に読みにくかったりするんですけどね。

 

セリフ以外からも儚さを感じられる

読んでいる時に注目してほしいのが登場人物たちの「目線」です。

「目」や「手」など心の動きが仕草として表れていたり、「コマ割り」や「間」が上手く使われており、心理描写が非常に素晴らしいです。セリフだけ読んでいたら伝わってこない儚さが感じられます。

 

読んでいて自分のちっぽけな価値観に気付かされます

この作品を読んでいると自分のちっぽけな価値観に気付かされます。

時には価値観や感情が二転三転する事もあります。

 

おわり:普通を求められる「道徳」の授業にはこの漫画を

この漫画は、若者はもちろん大人まで全ての世代の人に読んでもらいたい作品です。

 

もう1度言いますが「性別」について語る作品ではなく、「私達の価値観や多様性とは」に触れた作品です。「正解」がある道徳の授業を受けるくらいであれば、この漫画をぜひどうぞ。