法も秩序も無力の映画「ボーダーライン(Sicario)」の感想


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あらすじを見てワクワクしながら映画「ボーダーライン」を視聴。

 

海外ドラマ「24」のような感じのハラハラドキドキの銃撃戦があるのかと思いきや、求めていたレベルのほどではなかったです。が、面白かったので紹介。

 

映画「ボーダーライン」を簡単に説明するとこんな感じです。

  • アメリカとメキシコの国境が舞台
  • 麻薬カルテル(組織)を壊滅させる任務
  • 麻薬戦争を描いた物語

 

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アメリカとメキシコの国境:無法地帯の都市フアレス

日本に住む日本人の感覚だとピンと来ないけど・・・

日本は島国ですが基本的に1つの大陸に国がいくつもあって、そこに国境がある訳ですよね。国境と言われても海に囲まれている日本ですとあまりピンときません。

 

アメリカとメキシコにも、もちろん国境があり、壁(フェンス)が並んでいます。

ちなみにですがアメリカとメキシコの国境の長さは、約3,200キロと言われています。そんな長さの壁が並んでいるのは想像できないですね。

この壁を乗り越えてやってくる移民問題やら麻薬の密輸などなど色々と問題があり、トランプ大統領がちゃんとした壁を作ろうとしている訳です。

 

国境に面した都市「フアレス」は、無法地帯

メキシコ麻薬カルテルが力を持っており、警官も買収されている完全に麻薬カルテルに支配された危険な町。これまた日本に住んでいると想像しにくいですが、法や秩序なんてない空間な訳です。

 

麻薬カルテルが力を見せつける為に町に人を吊るすなど、インパクトのあるシーンが序盤に多く登場します。

 

FBI捜査官のケイト・メイサーは、善悪の境界線に苦しむ

物語の主人公であるFBI捜査官のケイト・メイサーは、正式な手続きをして法で裁こうという正義の女という存在。どちらかと言えば「普通の人」の立場です。

 

ただし、舞台は無法地帯の「フアレス」で麻薬カルテルを壊滅させる事。

彼女の正義はこの世界ではただただ無力であり、何が正義で何が悪なのか葛藤する。

 

映画「ボーダーライン」の感想【ネタバレなし】

日本では「ボーダーライン」というタイトルですが、原題は「Sicario(殺し屋)」となっています。

 

この作品を見る前の前提としてこの2点を頭に入れておくと見やすいかと思います。

  • トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を作ろうとしている
  • アメリカはメキシコから密輸される麻薬に悩まされている

アメリカの人からしたらこの作品を見てもすぐに理解できるのかも知れませんが、日本に住む日本人が見ると非現実的すぎて理解しにくいかもしれません。

 

置いてけぼりのケイトと自分

最初にFBIが突撃するシーンで興奮するも、そこから何が何だか分からず置いてけぼりな感じになります。「偉い人達が集まってケイトが何かスカウトされたけど・・・なにこれ」みたいな。

 

この「分からない」は、まさにケイトと同じ。

分からないまま物語が進み分からないまま振り回されていくこの感じがケイトと視聴者をリンクさせて混乱させていくように描いているのでしょう。

 

当たり前が当たり前じゃない世界

物語としては、世界の闇を描いたような感じですよね。

「麻薬戦争」と言われても全然理解できないのですが、実際にこういった事があり、力を持った人がいて支配をしているという非日常がそこにある・・・みたいな。

 

知らない人は知らないままだけど、実際こういったことが起きているんだぜ?といった感じ。「力」が全ての世界で正義の女・ケイトは無力で何もできない感じがある意味この作品で描きたい部分を引き立たせていて良かったと思います。

 

見終わったあとに色々と考えさせられる作品

見終わったあとに数分ぼーっとしてしまうような作品。

 

作品の中で多くを語らず、そして淡々とシーンを見せていく演出によって「さて、この世界の問題とはなんでしょう。あたなの世界では非日常かもしれませんが、実際にこの世界で起きている事です。誰が正義で誰が悪でしょう」という答えのない問が残る作品でした。

 

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タイトル ボーダーライン(原題:Sicario)
上映時間 121分
配信サイト(2019年9月時点)
おすすめ度 3.5

 

映画「ボーダーライン」の感想【ネタバレ注意】

ケイトの苛立ちが上手く作品に効いてくる

禁煙していたタバコを再開したり、会ったばかりの男の家にホイホイ行くなどケイトの「何も教えてくれないし違法行為ばっかするし私いる意味あるの?」といった苛立ちが上手く描かれていてそれが効いてきますよね。

 

ケイトいらなくね?と思うかもしれませんが、ケイトがいないと「全員悪人」みたいな作品になってメッセージ性が伝わりにくいので、「普通の人」というポジションが必要になってきます。

 

タイトルの「ボーダーライン」について

確かに「アメリカとメキシコの国境」「善悪の境界線」みたいな部分で「ボーダーライン」ってのは良いと思いますが、個人的には原題の「Sicario」の方が好きですね。

 

タイトルの「ボーダーライン」に引っ張られすぎてどうしても善悪だけで考えてしまいます。自分もタイトルに引っ張られている訳ですが。

 

「Sicario」の方が、「力に対抗できるのは力のみ」みたいなニュアンスが見終わったあとにしっくりきて自分は好きです。そして正義とは何か?みたいな方へ考えさせられますしね。

 

結局彼らの目的はなんだったのか

アメリカとしては、メキシコ麻薬カルテルが力を持ちすぎている事に危機感を感じていて、コロンビア麻薬カルテルの一党支配を確立させたい訳です。ある程度コントロールができること、すなわち「必要悪」としてコロンビア麻薬カルテルが力を持っていて欲しいわけですね。

 

そしてCIAは、コロンビア麻薬カルテルに雇われたアレハンドロと組みます。

この作戦を円滑に進める為にはFBIの権利が欲しいよねという事で選ばれたのがケイトですが、この作戦は違法行為なのでケイトには伝えられていません。

 

「FBI?CIA?国境?麻薬戦争?」となってしまう日本の感覚で見てしまうと、やや難しく理解しにくいです。トランプ大統領が壁を作るぞー!と言っている理由も、それが良いか悪いかは別として少しは理解できるのかな?と思います。